コスモエコパワー㈱

度会ウィンドファーム(三重県度会郡度会町)

日本海からの風の通り道

 三重県度会(わたらい)郡度会町は、清流で名高い宮川や名産の「わたらい茶(伊勢茶)」で知られる、山あいの自然豊かな町。町から望める日の出の森から獅子ヶ岳の尾根に、25基(1基2000kW)の風車が設置され、およそ3万世帯分の年間電力消費量を賄える、全国有数の風力発電です。風車の高さは、タワーと翼(ブレード)を合わせて118m、35階建てのビルに相当します。
 「風車は“おらが町”の誇りです」と語るのは、風力発電所所長の荒町さん(写真左)。

 風は昼夜関係なく吹くので、風力発電は効率がいいんです。ただし、風速4m 以上でないと稼働せず、年平均6m 以上の風が吹く立地が条件。このあたりは平均7m で、日本海からの風が琵琶湖の上空を越え、鈴鹿山脈から志摩半島・熊野灘へ抜ける風の通り道になっています。

“まちの風”を感じる場所として

 再エネの中でも施設規模の大きい風力発電は、計画から完成まで長い時間がかかります。同発電所は、2005年に風況観測調査が始まり、5年に及ぶ環境影響調査を経て、2017年に第1期工事(14基)、2019年に第2期工事(11基)が完了し、営業運転を始めました。

 「再エネの普及はもちろん、地域の人たちに愛される存在になることも大切です。『民家の近くに建てない』『工事の際は広域基幹林道を活用し、できるだけ山の環境を壊さない』など、地元へのていねいな配慮と説明は欠かせません」と荒町さんはいいます。
 展望台・眺望所の設置、公衆トイレの改修、しかやくまの獣害対策(地元猟友会への支援)、子ども向け学習会や一般向け見学会の実施など、さまざまな地域貢献にも取り組んでいます。

 「私たちの子や孫の世代のためにも、再エネをもっと広げたい。誇りがもてる仕事をさせてもらえて、ありがたく感じています。この気持ちを、パルシステム組合員のみなさんにも伝えたい。三重へお越しの際は、ぜひ、お立ち寄りください」(荒町さん)