パルシステム電力通信NO.8 那須野ヶ原土地改良区

 

百村発電所と新青木発電所を訪問しました! 

苺などの果物が有名な栃木県。北部に位置する那須塩原市は、高く険しい山々がそびえる自然豊かな町です。
今回は那須野ヶ原土地改良区の事務局長である後藤さんのご案内のもと、小水力発電所(百村第二発電所・新青木発電所)を見学させていただきました。

事務局長
那須野ヶ原総合開発水管理センター

那須野ヶ原は、二つの川に区切られている広大な扇状地。この地域特有の標高差を活用した小水力発電によって、環境にやさしいエネルギーを生み出しています。

 

水の確保が難しい、不毛の大地

かつては「水の一滴は、血の一滴」と言われるほど深刻な水不足であった那須野ヶ原。もともとは水資源に乏しく、農地には適さない地域でした。

泥や砂、礫が広範囲に堆積する地形の特色上、保水力が弱く、水田や用水路から水が地中へと浸透してしまいます。そのため、降った雨や流れる川の水を貯蓄することができず、慢性的な水不足に悩まされていました。

そこで、水源の確保と水の安定供給をはかり、深山ダムを建設。農業用水が整備されました。

那須野ヶ原の様子

農業用水路を活かした、工事いらずの"小"水力発電⚡

田んぼ道に突如現れる青色の水車は、農業用水路にある2mの落差を利用し、発電をしています。

百村発電所では土木工事はせず、落差が比較的低く、流量が多い場所での使用が適している水車を使用。農村にある身近なエネルギーを活用し、電気を生み出しています。

百村第二発電所
写真は百村第二発電所の様子。小水力発電といっても2mの落差を用いて流れる水は非常に力強かったです。

上流から下流へ、複数の発電所を流れる水

那須野ヶ原は、二つの川に区切られた広大な複合扇状地です。この地形によって、上流で浸透した農業用水を下流で再利用できるため、水が有効に使用されています。

百村第一、第二発電所は同じ農業用水路を使用して発電をしており、百村発電所を流れた水は新青木発電所へと流れていきます。

写真は新青木発電所の様子。百村発電所とは異なり、川は道路の下にある地中に組まれたパイプラインを流れています。
新青木発電所

地域の方との支え合いでうまれる電気

写真は除塵機という塵や土砂などを取り除くための機械です。引っかかったごみは地元の方が回収しており、地域一体となって日々発電をしています。

また、除塵機を含む発電所周辺は発電機の作動音などは聞こえず、静か。近隣で生活する地元の方を考慮し、防音対策がしっかりとされています。

除塵機

発電所は地域の方々の暮らしを思い、地域の方々はクリーンな電気の発電に貢献していて、お互いが協力し合って取り組んでいらっしゃるのを見学を通して肌で感じました💡

発電所名 最大出力 有効落差 所在地
百村第二発電所 90kW(30kW×3基) 2.00m 栃木県那須塩原市百村地先
新青木発電所 500kW 44.00m 栃木県那須塩原市青木地先

 

取材協力:那須野ヶ原土地改良区