南部町バイオマス発電所(山梨県南巨摩郡南部町)
電気を作って、山を守る!
「これまでこの地には縁も所縁もなかったんですよ。こんなに山深いところで仕事するなんて、人生わからないですね」と語るのは、㈱南部町バイオマスエナジーの飯干さん。
「この町にとって“木”は代々受け継がれてきた文化そのもの。林業に関わる人たち一人ひとりにとって、この生業を後世につなげることは生きる証そのものだったんです。その風土に魅了され、「間伐材チップによるバイオマス発電」をその“柱”のひとつとして確立しようと決心しました」と飯干さんはいいます。
緑の屋根の大きな建物の手前にあるのが南部町バイオマス発電所です。
“短コロ”が町を救う!
山梨県南部町は林業が盛んな土地柄。巨大森林組合のほか、自営の林業者も多数抱えています。
“短コロ”とは1メートルほどの丸太のことで、県有林から木材を切り出すとき、どうしても半端は出てしまいます。麓に持って降りても使い道はほとんどなく、かといって山に放置するわけにもいきませんでした。
それが、バイオマス発電の燃料として使用され、山を整備しながら良質な木を産出したい町も助かり、まさに“一石二鳥”でした。
「本来、山の恵みに無駄なものはないんだ。“短コロ”も“間伐材”もすべて使い切る― それって今の時代にいちばんぴったりだろ」と県内の林業を復活させようと奔走してきた南部町森林組合の組合長さんは言います。
よい木材を切り出すには、山の中に人が入って丁寧に手入れすることが必須。“短コロ”、間伐材の有効活用は、そのまま環境を守ることにもつながっています。