NPO法人おがわ町自然エネルギーファーム

NPO法人おがわ町自然エネルギーファーム
おがわ町市民協同蟹沢発電所(埼玉県比企郡小川町)
おがわ町市民協同鬼ヶ谷発電所(埼玉県比企郡小川町)

“顔の見える人々との範囲内”で電気をつくる

 「〝顔の見える人々との範囲内〟で電気はつくれるんです。小さく育む、そして地域の人たちを巻き込むことが大切です。農家が中心のこの施設、実は電気は液肥の副産物なんですね」と語るのは、NPO法人おがわ町自然エネルギーファームの桜井さん。自身が理事を務める団体で自作の太陽光発電所を町内に数カ所作るとともに、メタンガスを使ったバイオマス発電所の運営にも携わっています。

 週4回、町内の給食センターから毎回100kgほど届けられる“食べ残し”を発酵させ、発生するメタンガスをコージェネレーションシステム(熱源より電力と熱を生産し供給するシステムで、“コージェネ”と総称される)で発電。同時に排出される液肥(液状の肥料)は無農薬の野菜づくりに活用― と、電気づくりを中心に地域資源を循環させてきました。

電気づくりで地域を元気に

 桜井さんが電気の大切さを改めて実感したのは、東日本大震災でした。原発事故で避難所に身を寄せる住民のもとに太陽電池を持ち込んだ桜井さんは、そこで住民たちの「電気がなくて眠れなかった」という言葉をあちこちで耳にしました。
 避難所での慣れない日々、先々の不安に押しつぶされそうになる夜の暗がりにポッと明かりが灯る。「電気がついて、みなさん涙を流された。そうか、電気って安心感なんだ」と桜井さんは確信したといいます。
 「大きな発電所ひとつ作ろうとすれば莫大なお金がかかります。でも“市民発電所”なら、地域のみんなでお金を出し合ったり、寄付を募ったり、行政にかけあって助成金を得るなど、自前で“何とかなっちゃう”んです。だから面白いんでしょうね」