それって、ホント?再エネのウワサ専門家に聞いてみました
パルシステムでは持続可能な社会の実現に向け、再生可能エネルギー(再エネ)の普及・拡大をめざして、「パルシステムでんき」への切り替えを呼びかけてきました。一方、「再生可能エネルギーって大丈夫なの?」と考えさせるような「情報」もSNSを中心にウワサとして拡散されているのも実情です。その情報ってホントなの?再生可能エネルギーの専門家にお聞きしました!
答えてくれたのは、こちらのおふたり
柿木景太さん
株式会社再生可能エネルギー推進機構(REPO)取締役。再エネ利用推進部のメンバーとして、再エネ電源を地域主体のものにするためのアプローチを展開している。
吉田明子さん
国際環境NGO FoE Japanスタッフ。市民に再エネ選択を呼びかける「パワーシフト・キャンペーン」を立ち上げ、エネルギーシフトに向けた啓蒙活動に取り組む。
ウワサ1 再生可能エネルギーが原因で電気料金が上がったの?
再生可能エネルギーが原因で電気料金が上がったって聞いたけど、本当なの?
再エネも再エネ以外も「理由」あって加算されています。
毎月の電気料金には「再生可能エネルギー発電促進賦課金」のほかに、火力の「燃料調整費」や原子力の「託送料金」も上乗せされています。
(柿木さん)
解説1 知っていますか?電気料金の内訳
2028年度に向けた試算では、日本全体で約1.6億kW必要とされるなか、国内のFIT電源(※1)再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を、国が定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務付ける制度。電気事業者が買い取りに要した費用は、使用電力に比例した「再生可能エネルギー発電促進賦課金」によって賄い、電気料金の一部として国民が負担する。の期待容量は約2,083万kWまで伸びると見込まれ、供給量全体の約12%(※2)電力広域的運営推進機関が作成した「2024年度メインオークション需要曲線作成要領(対象実需給年度:2028年度)」による。を占めることになります。毎月の電気料金に加算される「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」があるからこそ、再エネが増えたのです。いっぽうで原子力や火力の発電コストも、電気料金に上乗せされています。原子力は電気の「託送料金」の名目で上乗せされ、化石燃料の為替相場や高騰に影響される火力も「燃料調整費」として加算されています。再エネをより加速させるためにも、「再エネ賦課金」は適正かつ必要な制度だと言えます。
(柿木さん)
ウワサ2 「太陽光発電」は環境に悪いんですか?
太陽光発電って環境破壊の原因になってるって聞いたけど、本当に環境に良いの?
自然と共生するための規制や工夫が進んでいます。
環境に悪影響を及ぼす大規模開発に対する国の規制が進んでおり、自然、地域と共生する太陽光発電は全国に広がっています。
(吉田さん)
解説2 太陽光発電の乱開発にストップ
誰がどこに、どのように設置するかが重要です。山林を切り崩して太陽光パネルを設置するなど、環境に悪影響を及ぼす太陽光発電所が存在することは事実です。しかし、こうした乱開発に対する国や地域の規制や取り組みは強化され(長期安定適格事業者制度など)、使用済みパネルのリユースやリサイクルを義務化する法案も、国会で議論されています。市民出資により適正に運営されている「ご当地電力」など自然、地域と共生する発電所も全国に広がっていることも事実です。畑の上にパネルを設置し、発電と同時に作付けを行う「ソーラーシェアリング」は、農地として利用することで耕作放棄地や獣害を減らすメリットもあります。 (吉田さん)
パルシステムでんきの発電産地のひとつ、二本松有機農業研究会では幅の狭いソーラーパネルを使用。パネルの下の作物もたっぷりと日光を浴び、すくすくと育っています。
ウワサ3 再生可能エネルギーは発電コストが高い?
再生可能エネルギーって結局コストが高くて、経済的じゃないんでしょ?
長期的にみれば安価。今後はさらに安くなる!
特に家庭用の蓄電池の価格が下がるなど、再エネの技術革新も進み、相対的に発電コストはさらに下がると考えられます。
(柿木さん)
解説3 再エネの普及がコスト削減に
発電設備の設置費用でコストはかかりますが、火力のように燃料費はかからず(バイオマスはのぞく)、長い目で見ると再エネの発電コストは高くありません。太陽光は日の長い春から夏の発電量が増え、風力は風が強い冬に向いています。太陽光と風力を組み合わせることで、時間帯や季節性をカバーしながら供給力が安定します。近年は、家庭用の蓄電池の価格が下がり、軽くて薄く柔軟性に富む「ペロブスカイト太陽電池」(※3)「ペロブスカイト結晶」を用いた太陽電池。「低コスト化」「軽くて柔軟」「主要材料は日本が世界シェア第2位」などの利点があり、次世代の太陽電池として注目を集めている。
出典:資源エネルギー庁webサイト「日本の再エネ拡大の切り札、ペロブスカイト太陽電池とは?」の期待も高まっています。再エネが普及することで技術革新も進み、相対的に発電コストはさらに下がると考えられます。
(柿木さん)
軽量で柔軟性のあるペロブスカイト太陽電池は、耐荷重や強度の問題でこれまでは設置できなかった壁や屋根にも設置でき、幅広い活用に期待が持たれています。
ウワサ4 再生可能エネルギーは電気供給が不安定なの?
再生可能エネルギーって天候に左右されて、電気の供給が不安定になるんじゃないの?
「再エネ同士の組み合わせ」でリスク回避!
火力、原子力には、重大事故や大規模停電のリスクが潜んでいます。「小型分散化電源」である再エネは、万が一のリスクを分散でき、天候影響についても蓄電池との組み合わせで解消できます。
(柿木さん)
解説4 発電量を補い合えるのが再エネの強み
発電量の大きい火力は、設備・送電トラブルで大規模停電を引き起こすリスクがあります。原子力を過信しすぎるのも問題です。東京エリアでは、約5,500万kWの発電設備が必要とされていますが、原発が1号基動いても約100万kW(※4)柏崎刈羽発電所1~7号機の出力による。
出典:柏崎市Webサイト「原子力>柏崎刈羽原子力発電所の状況>1~7号機の運転・保守状況」しか賄えません。原発は、事故が起きたときの影響も深刻です。その意味でも再エネは「小型分散化電源」であり、リスク回避のメリットがあります。再エネの発電量を安定させ、需要と供給のバランスをはかるためには、解説3でお答えしたように、時間帯と季節性を考えながら太陽光と風力など、再エネどうしを組み合わせることが必要です。
(柿木さん)
ウワサ5 再エネの発電所をつくるとCO2が出るのでは?
再エネの発電所を作る時にもCO2が出るから、結局環境に悪いんじゃないの?
再エネは火力よりもCO2排出量が少なく、原発よりも安全。
火力は化石燃料の燃焼で多くのCO2を排出し、原子力も放射性廃棄物などの課題があります。エネルギー自給率の低い日本では、再エネが唯一の道です。
(吉田さん)
解説5 火力発電・原子力発電にも大きな課題
再エネ発電所建設の過程で、CO2を排出することは確かですが、環境に負荷を与えるのは火力、原子力も同じです。化石燃料の燃焼により多くのCO2を排出する火力は、地球規模における気候危機を背景に、日本を含む多くの国が化石燃料からの脱却(脱炭素)を表明しています。原子力も、ほとんどの原発で老朽化が進み、建て替え・新設には莫大な費用と時間がかかり、事故のリスクや高レベル放射性廃棄物(使用済核燃料)の処分など課題も山積しています。原子力には頼れず、将来的に火力からも脱却しなければならないなか、エネルギー自給率の低い日本では、再エネを推進することが急務なのです。
(吉田さん)
東日本大震災による福島第一原発の事故により発生した、放射性物質を含む汚染土の行き先については不透明な状況が続いています。
※写真は2018年の撮影。
やっぱり再エネを広げよう!
「エネルギーリテラシー」を持ちどの電気を選ぶのか判断する!
「残念ながらエネルギーの問題に対して、多くの方の関心は、まだまだ低い気がしています。これからのエネルギーのあり方に関心を抱き、ウワサに惑わされず、正しい情報と向き合う。国民全体で再エネの未来を切り拓いていくためにも、一人ひとりが『エネルギーリテラシー』を持って考え、どの電気を選ぶのか判断することが大切です」
(柿木さん)
周りを巻き込みながら"みんなのアクション"に!
「再エネには、地域経済をうまく循環させ、地方創生に寄与する可能性があります。契約する電力会社を再エネに切り替えることは、私たちの暮らしを変える大きな一歩となります。組合員のみなさんが"電気を選択"し、周りを巻き込みながら、"みんなのアクション"にしていく。そうすれば、再エネの可能性はもっと広がっていくはずです」
(吉田さん)
組合員の声「再エネへの切り替えは、私たち大人の責任です」
パルシステム組合員 佐藤まりさん
福島での原発事故を同じ日本に暮らす者として体験したとき、「私は今まで、何も考えずにのうのうとこの電気を使っていたんだ」と、避難を強いられた福島の方々の姿を見て、心から反省しました。私が暮らす千葉でも、放射能汚染への恐れがしばらくあり、その間、心が落ち着かず日々を過ごしていたことを、今も思い出します。目先の経済や便利さだけにとらわれることなく、もっと「先」を見ていかないと…。再生可能エネルギーに切り替えていくことは、子どもたちが将来、安心してこの国で暮らし続けるために避けられない「私たち大人の責任」。私はこれからも、パルシステムでんきで我が家を灯していきたいと思います。
パルシステム電力公式YouTubeで「声」を聞くことができます。
YouTubeのパルシステム電力公式チャンネルでは再生可能エネルギーに関する動画を公開中。佐藤まりさんも登場する『【パルシステムでんき】switch your action』は、ほかの組合員や発電産地の生産者の声も収録しています。
第7次エネルギー基本計画の見直し内容を知っていますか?
パルシステムが実施したアンケートでは、第7次エネルギー基本計画の「見直し内容を知っている」との回答はわずか7%程度にとどまりました。
見直し内容を
知っている
聞いたことが
ある
聞いたことが
ない
出典:パルシステムグループ組合員対象のオンラインアンケート「あなたはどこまで関心がありますか?未来のエネルギー」より
調査期間:2024年11月11日~24日
有効回答数:4,099人(20歳代以上)