パルシステム電力通信NO.3 飯舘電力㈱

コラム

 エネルギーは「食」と同じ。

パルシステムとともに、地産地消に取り組み続けます。       

発電産地:飯舘電力(福島県飯舘村)

パルシステムは全国各地の発電産地とつながり、組合員に安全で安心できる電気、「パルシステムでんき」をお届けしてきました。
そのきっかけは12年前の東京電力福島第一原子力発電所での事故でした。
福島県飯舘村で太陽光発電による電気を「パルシステムでんき」に届ける飯舘電力のお二人、千葉訓道(のりみち)さんと米澤一造さんに、 「これからの電気の未来」について伺いました。 

 ――放射能汚染にさらされた飯舘村で発電に取り組んできた日々を振り返り、今一番感じることは何でしょう。

 千葉:僕ももう69歳になります。最大の課題は後継者ですね。 幸い私たちの飯舘電力には30代のスタッフがおり、私たちの思いはしっかりと継承してくれると信じていますが、しかしあの事故から12年が経つ中で、 震災の記憶は風化し、自然エネルギーに対する社会の関心は必ずしも高くはなっていない、と感じています。 

 
――飯舘電力は発電事業をすすめながら、一方でコロナ禍では「バーチャルツアー」など、発電の意義を県外の人々に伝える取り組みにも積極的でしたね。

 米澤:当初私たちは、村の復興に貢献するための方法として「発電」を始めたんですね。でも、小さな一企業の体力では村全体の復興には到底及ばない。そこで、被害の事実を外へ向けて発信していく伝道者として「バーチャルツアー」という方法を模索し、開催したのが始まりです。 結果として、「6500人の村民が放射能汚染によってバラバラになった」という現実に対して、それまで応援したくてもなかなか関わることのできなかった遠方の方を含む多くの支援者が視聴してくださり、私たちの思いを直接伝えられる良い方法となりました。

 千葉:「語り継ぐことを諦めてはいけない」という一心でしたね。なぜなら、あの原発事故は僕ら世代の責任だからです。 若いころの僕らは、安全神話に踊らされて、原子力エネルギーは良いものだと盲目的に信じていました。その結果が東京電力福島第一原子力発電所での事故でした。僕らがまだ動ける間にエネルギーの問題を正しい道に戻せるのであれば、なんでも取り組みたい、という思いは今も変わりません。
 

 ――ウクライナ侵攻では原発への攻撃など、新たな危機もささやかれています。さらに侵攻は世界のエネルギー問題にも飛び火し、日本の私たちの電気代にも影響が及んでいます。自然エネルギーを広げようとする「パルシステムでんき」にとっても厳しい時代に突入していますが、今後もその灯を絶やさないためにも、どのようなメッセージが必要だと思いますか?

 米澤:「エネルギーのことを、自分自身のテーマとして考える」だと思っています。電気代の問題はその意味で、重要なきっかけではないでしょうか。

 千葉:私たちは小さなプラント(発電所)を自然を損なわないように、環境との調和を意識して村内各地に建てています。しかし村内を走っていて目に飛び込むのが、首都圏の大手企業が出資するメガソーラーです。一見、それは雄大で未来的な風景にみえますが、実はそこで得られる利益のほとんどは「中央」に吸い取られていっているのです。私たちのように地域に還元することはほとんどない。雀の涙ほどの地代だけです。それで「復興」と呼べるんでしょうか。

 米澤:だからこそ、パルシステムの組合員、職員のみなさんにはもっと飯舘村に来ていただいて、今の飯舘村の状況、復興の進み具合など「現実」を見ることで、いかにこれからの福島に、日本に、世界に原発が不要か、きっと理解いただけると考えています。


――生協として、発電産地とつながりながら、安全で安心できる電気を組合員へ届けるしくみにはどのような意味があると、「生産者」の立場からはお考えですか?

 千葉:生協という組織ほど、頼もしい団体はないんです。生協は40年近く前のチョルノービリ(チェルノブイリ)の原発事故のときもその重大性を理解して、敏感に反応されました。「子どもたちのために安全安心な食を」と、全国の生産者と手を組み助け合い 活動してきた人たちです。運動体として培ってきたそのノウハウを、改めて今、エネルギーの分野で活かしていることにはきっと日本をよりよくする中心になる、そう期待しています。

 米澤:僕は、生協という組織を「パルシステムでんき」に参加するまで知りませんでした。しかし「組合員」とはだれのことなのか、石けん運動にはじまる生協の環境運動の歴史も知るうちに、生協とともにこのエネルギー問題に取り組むことが最善の道だと確信するようになりました。

 千葉:パルシステムと歩むにつれて、エネルギーは「食」と似ている、と実感するようになりました。食料自給率が国の安全保障を支えるように、エネルギーの自給もまた、暮らしの基礎を作るものだと。その意味をこれからも利用いただいている組合員とつながりながら噛みしめていきたいと考えています。

取材協力:飯舘電力(株)
構成・文:パルシステム電力