新しい「発電産地」を訪ねました!
山々に囲まれ、豊富な水に恵まれる山梨県。水力発電に盛んな土地柄としても知られており、甲州市の周囲には大自然が広がり、ぶどうや桃などの果樹を中心とした栽培が盛んに行われています。今回、2024年春から発電産地に加わった「山梨県企業局」が運営する柚ノ木発電所(水力発電所)を訪問しました。山間部の中心に位置する柚ノ木発電所は、パルシステムでんきの発電所の中でも特に規模の大きい発電所です。
今回、柚ノ木発電所の責任者である桜井さん(写真一番左)の案内のもと、発電所の内外を見学させていただきました。
でんきも食も“水”のチカラで!
水力発電は、再生可能エネルギー
水力発電は、二酸化炭素を排出しない環境に優しい発電方法です。高い所から低い所に水を落とす力を利用して電気を生み出しています。一般的には24時間一定の水量で発電する「フラット運転」が主流ですが、柚ノ木発電所では朝夕にピーク運転※¹を行っています。
※¹需要電力が高まる時間帯に合わせて発電を行うこと
桜井さんは、「高需要時間帯に合わせて水を溜め運転することで、無駄なく効率的に発電できる」とおっしゃっていました。
轟音とともに回り続ける水車
柚ノ木発電所では水車と発電機が縦に並ぶ、縦軸フランシスという水車型式を使用しています。水車入口の構造にも工夫があり、発電量に無駄がないよう水の勢いに合わせて螺旋状に水の通りが形成されています。
分解点検や定期点検は年に数回実施されていて、ベテランの方は日頃から室内の音や温度、においなど体感で異常を察知しているそうです。写真は実際に発電機付近を見学したときの様子で、地下に入ると水の音が聞こえ、空気もひんやりしていました。
最大傾斜55度を流れて田畑を潤す
柚ノ木発電所では、水路を用いて河川の水を導き、落差のある場所から水を落とすことによる勢い(位置エネルギー)で発電をする水路式を活用していて、発電に使用された水はそのまま麓の用水路を通じて田畑を潤しています。
わたしたちも実際に鉄管路を登ってみましたが、階段は整備されてはいるものの再頂部までの道のりは非常に険しく、到底たどり着けないほどの絶壁でした。巡視の際は野生動物等への対策を講じたリュックを背負って登っていると伺い、身一つでも大変なのにさらに重たい装備が加わると聞き驚きました。
DX化への取り組み
これまでは鉄管路の月次点検を全て人力で行っていた山梨県企業局。
現在はその作業の一部をカメラ搭載のドローンによる監視や点検に置き換え、業務の効率を図っています。
ドローンによる監視・点検は野生動物や蜂などによる人的被害への対策としても効果があります。
実際にドローンを操縦させていただいたところ、本体の向きによっては操縦も逆になるため、正確に飛行させるのは困難でしたが、リモコンに映し出される映像はとても鮮明で、点検の際には人の目が届かないところもしっかりと確認ができると感じました。日常では操作する機会は無かったので、今回、非常に興味深い体験ができました。
発電所名 | 契約電力 | 所在地 |
---|---|---|
柚ノ木発電所 | 1万8100kW | 山梨県甲州市 |
藤木発電所 | 1900kW | 山梨県甲州市 |
小屋敷第一発電所 | 1300kW | 山梨県甲州市 |
小屋敷第二発電所 | 900kW | 山梨県甲州市 |
野呂川発電所 | 2万300kW | 山梨県南アルプス市 |
※年間発電量は約4万世帯分となります。
取材協力:山梨県企業局