パルシステム電力通信NO.7 ㈱元気アップつちゆ

 

土湯温泉16号源泉バイナリー発電所に訪問しました。

山々に囲まれ、温泉資源と湧き水の双方に恵まれた福島県。
北部に位置する土湯温泉は豊かな自然に囲まれ、付近には清流としても有名な荒川が流れ、あらゆるところから温泉の蒸気が上がっています。

今回は福島市土湯温泉町にある、土湯温泉16号源泉バイナリー発電所(地熱発電所)を訪問し、「株式会社元気アップつちゆ」の責任者である佐久間さん(右写真)の案内のもと、発電所を見学しました。

 

「株式会社元気アップつちゆ」は2012年10月に設立されました。2011年3月の東日本大震災により、土湯温泉は建物への被害や原子力発電所事故の風評被害から観光客が激減し、温泉旅館の多くが長期休業や廃業に追い込まれるほどの大打撃を受けました。そのような中で立ち上がったのは、地元の温泉協同組合。復興を推進するために日々活動しています。



 

温泉と発電に適した"土湯の熱水"

地熱発電の多くは地中深くから取り出した蒸気で直接タービンを回して発電しますが、ここ土湯では熱水で作業媒体(※1)を沸騰させて発生した蒸気を使用して発電をしています。沸騰した作動媒体は何度も再利用できるため、持続的に発電をすることができます。

※1・・・水よりも沸点の低いアンモニア水やペンタン、代替フロンなどのことをいい、土湯では蒸発・冷却を繰り返すことができるペンタンを採用。

発電所周辺には他にも源泉があり、泉質、圧力、温度どれもが地熱発電に適しています。水より沸点の低い媒体を熱水で沸騰して蒸気に変える方法は、利用できる熱水が多いこの土地を生かした発電方法になります。

 

 

オ二テナガエビで復興を

土湯では、発電時に冷却で使用した後の暖められた水を利用してオキテナガエビの養殖を行っています。

オニテナガエビは国内での養殖事例が極めて少ないですが、孵化から育成までの完全養殖を行い、商品化を図ることで新たな観光資源になることを目指しています。淡水で成長したエビは、1年中体験可能なエビ釣りとして提供し発電は食に繋がります。自分で串に差し、自分で焼いて食べるエビは絶品のため、地元の人や観光客にも愛されています。

真っ白な殻とこちらを見つめているような黒い目がとても可愛く思えました 😳  佐久間さんはオ二テナガエビをカルパッチョにして食べるのが美味しいと言っていました。

 

発電所名 契約電力 温泉温度(利用温度) 所在地
土湯温泉16号源泉バイナリー発電所 440.0kW 130度(120度) 福島県福島市

取材協力:株式会社元気アップつちゆ