筆甫太陽光発電所(宮城県丸森町)
電気づくりは地域再生そのもの
原発事故による放射能汚染被害の影響は、県境を越えた宮城県丸森町筆甫(ひっぽ)地区にもあらゆる不安と苦難をもたらしました。
「実は震災以前から農林産物の価格低迷などによって農村は疲弊した状態でした。そこにきた今回の事故。当時、人口800人ほどだったこの小さな集落が、南相馬市民185人の避難所ともなったんです。福島の方々の苦しみは痛いほどわかる。原発に依存しないエネルギーづくりは、復興支援であるとともに地域再生そのものなんです」と語るのは、ひっぽ電力㈱の目黒さん。
最初は株式会社だというと、自分たちが儲けるためにやってるのか?と疑われもしたんです。
でも、電気で生まれた利益は自分たちの地域に還元するんだ、自分たちの集落は自分たちで守るんだ!と説明したらだんだんとわかってくれて、住民の方々から資金協力や寄付を募って、ようやく太陽光発電所1号基は完成しました。私たちの電気は住民みんなで作り上げた市民電力なんです。
今までは、マイナスをゼロにすることを必死にやってきました。でもこれからは太陽光発電を足がかりに、ゼロをプラスにする事業を手がけていきたいと思っています。
さらに持続可能な地域づくりを!
2019年10月に東日本を縦断した台風19号は、ここ宮城県伊具郡丸森町にも大きな被害をもたらしました。町の中心部は水没し、ここ筆甫地区も孤立しました。送電線は断線し、地区全域が停電しました。
「そんなとき、地域の中心施設に避難した住民たちを救ったのが、再生可能エネルギーの蓄電池だったんです。夜中の暗闇を照らしてくれた明かりに、みなさん“あぁ、電気って大事だなあ”と、電気づくりに取り組んでよかったと思えた瞬間でした」と語るのは、ひっぽ電力㈱の金上さん。
これからは全国でもっと自然災害が増えるでしょう。でも負けるわけにはいかない。持続可能な地域づくりにゴールはありません。みなさんの応援よろしくお願いします。