ソーラーシェアリングで
農地再生の可能性を探る!
全体写真
太陽光パネルの下で実るブルーベリー
細田さんに質問をするパルシステム生産者消費者協議会のメンバーたち(写真右から2人目が中村さん)
産直産地「アップルファームさみず」代表の山下一樹さん
6月下旬、梅雨の合間となったこの日は晴天。太陽の日差しが肌にじりじりと照り付けるなか、山梨県南アルプス市にある発電産地「環境ネットワーク」を訪れたのは、パルシステム生産者消費者協議会(*1)のメンバーたちでした。
ソーラーシェアリングとは「作物が使いきれない"余剰光"を太陽光発電に回すしくみ」。作物をつくるために必要な光は確保しつつ、光合成に使われない分の光を頭上の太陽光パネルで受けて発電もしよう、というわけです。
そんな中村さんの熱い思いに突き動かされて参加した山下一樹さんは、パルシステムの産直産地「アップルファームさみず」の代表。長野県北部で、りんごをはじめ果樹栽培を父の代から受け継いで、一手に切り盛りする若きホープです。
植物は成長のために日光を必要としますが、「光が強ければ強いほど、無限に光合成の量が増える」わけではありません。光の強さをどんどん強くしていくと、ある一定の強さで光合成のスピードは頭打ちになる。光合成量がピークに達する光の強さ――つまりこの「光飽和点」が確保されるなら、ソーラーシェアリングは成立する、というわけです。
ブルーベリーの樹の下は白いシートで日光を反射させている
地域には遊休放棄地があちこちに
太陽光パネルの下でも果物はすくすくと育っていた
もっとも、ソーラーシェアリングを成功させるためには、作物の種類や地域の気候に合わせたコントロールが必要、というのが農学分野では共通の認識。その点、環境ネットワークのソーラーは甲府盆地の南西のなだらかな斜面に立地し、富士山越しに照らす朝日も眩しく、遮るものがほとんどないことから恵まれた日照環境といえます。
よく整備されたブルーベリー畑の足元をみると、一面に白いマットが敷かれています。太陽光パネルから零れ落ちた光はブルーベリーを直接照らすだけでなく、地面・葉で反射した光や空気中で散乱した光が、パネルの影に入った場所にも届きます。
一方、糖度ときれいな黄緑色の外観が命のシャインマスカットの栽培は、少々デリケートなようです。
シャインマスカットの果樹園で「畑を管理する従業員は、そのほとんどが元農家。ソーラーシェアリングは技術と意欲を持つ農家の新たなステージも作るんです」と語る
現在17カ所(そのうち6カ所がパルシステムでんきに供給)のソーラーシェアリングの太陽光発電所が立地する地元で生まれ育った細田さん。かつて、町全体に広がっていた実り豊かな果樹の畑たち。しかし、高齢化や後継者不足、酷暑、資材価格の高騰などを背景に、耕作が続けられなくなった元果樹園が地域に増えています。一度は故郷を離れていた細田さんでしたが、そんな故郷の光景を目の当たりにし、「何とか地元を元気にしたい」と一念発起してたどり着いたのが「遊休農地や耕作放棄地を再生し、太陽光パネルの下で農業を地域によみがえらせる」ことだったのです。
また、これら太陽光パネルでつくられた一部の発電所では、災害等による停電時に、地域の住民が携帯電話などの充電に利用できる非常用電源設備を設けているといいます。
災害等による停電時に、自治体と連携して地域の住民に開放される非常用電源設備
収穫されたばかりのブルーベリーをパック詰めする工房では、「おいしそうでしょ? ほんと甘いんですよー」と地元の方々がいきいきと従事していました。そんな様を見て「地域を元気にするソーラーシェアリングはやはりもっと広げるべきですね!」と意欲満々な中村さんとともに、山下さんも細田さんとの語らいを通じて手応えを感じている様子。
ソーラーシェアリングは地域農業活性の推進力となるか!?――組合員や生産者の注目を集める中、細田さんたちの挑戦はこれからも続きます。
おひさまフルーツやまなし株式会社の工房では地元の女性たちがブルーベリー詰めの真っ最中
ソーラーシェアリングが切り拓く未来
*1 パルシステムの"生産者"と"消費者(組合員)"が対等な立場で協議し、産直をより良くするために活動する公式組織
*2 株式会社環境ネットワークが発電設備の整備・運営を担い、ソーラーシェアリングにおける営農は、おひさまフルーツやまなし株式会社が担っている。