㈱森のソーラー

鉾田太陽光発電所(茨城県鉾田市)
古河太陽光発電所(茨城県古河市)
つくば太陽光発電所(茨城県つくば市)

原木を守り、電気をつくる

 コナラやクヌギを“ほだ木” にしいたけの菌を植え付け、一般に流通する菌床栽培よりも歯ごたえも風味も勝る「原木しいたけ」を生産してきた㈱森のソーラーの高橋さん。この道、38年のベテランです。

 高橋さんの「原木」は、祖父の代から受け継がれてきた栃木県茂木町の山林から切り出される良質なものでした。しかし、2011年の原発事故で状況は一変。栃木県だけでなく地元茨城県にも広範に降り注いだ放射性物質の影響で、すでに買い入れていた約14万6千本の原木は廃棄せざるを得ませんでした。
 新たな原木を探し全国を回ると同時に、ほだ場自体森の中の環境を作り出すため、湿度や日照の調整ができて可能なかぎり放射性物質が混入しないように対策をしていくなかで、着想を得たのが太陽光発電でした。「太陽光による発電と原木しいたけの栽培はとても相性がいいんです」(高橋さん)。

電気づくりは“故郷で挑戦し続けること”の象徴

 ソーラーパネルをハウスの天井代わりに利用すれば、放射能対策にもなるうえ、売電収益を通じて放射能対策費や、落ち込んだ消費を回復すべく原木しいたけを広める製品開発費などに活用できると高橋さんは考えました。 

 「震災前も震災後も、太陽の日差しは変わらずこの土地を照らし続けています。風味豊かな原木しいたけをこの地で作り続けると決意した私たちにとって、自然のエネルギーで電気を作ることは単に新しい事業を始めることを意味しません。“故郷で挑戦し続けること”の象徴でもあるんです」(高橋さん)。